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2020年度 シラバス情報表示画面 (TS1401)
■科目名
幾何学 (2単位)
線型代数学Ⅱ (2単位) [INFO115]
■教員名
小林 幸夫 (コバヤシ ユキオ)
科目名の後ろに水色で表示しているものは科目ナンバリングです
■開講期 秋期
■授業概要
 高校では, ベクトルには二つの顔があることを学んだ。つまり,「矢印という図形の顔」と「数の組という顔」である。線型代数I では, 主にベクトルとマトリックスの演算規則とを取り上げた。それでは, 大きさ・方向を持つ矢印の顔はどうなったのだろうか。
 本科目では, 線型代数学の一分野として, 主に線型変換と固有値問題とを取り上げる。次元の概念から出発して, 線型空間に対する幾何のイメージを理解する。
 数学では, 同じ問題に対して代数の観点と幾何の観点との両方の見方ができる。三平方の定理 (中学数学), 直交するベクトル同士の関係 (高校数学) などを基礎にするだけで, 抽象的な多次元空間が「見える」世界になることをねらいとする。
▶ 授業の形態:講義を中心として, 演習問題を課しながら授業を展開する。
■到達目標
上級学年の理工学系の諸問題では, 関数をベクトルとみなすという拡張を試みる。本科目では, その基礎として, 線型空間を幾何のイメージで理解するトレーニングに力を注ぐ。
工学系数学統一試験に対応できる水準を保って講義を進めるため, この試験の受験を推奨する。
① 2元・3元連立1次方程式の幾何的意味が正しく判断できること。
② 連立1次方程式の解が表せる集合の観点から, 群・体・線型空間を正しく判定できること。
③ 線型空間における連立1次方程式の幾何的意味を理解した上で, 解が求まる場合とそうでない場合とのちがいが判断できること。
④ 線型変換の観点で連立1次方程式の幾何的意味を理解し, 入力ベクトルの回転・鏡映が正しく実行できること。
⑤ 固有値問題の幾何的意味を理解し, 固有値・固有ベクトルを正しく求め, マトリックスを対角化できること。
■共通科目または各学部ラーニング・アウトカムズとの関係
専門分野の知識を理解し、活用できる
探求心や好奇心を持ち、広範囲の媒体から知識を収集できる
課題や問題点を分析し、批判的/創造的思考を通して、解決できる
グループ内でコミュニケーションがとれる
自らの意見・主張を正しく説明・記述することができる
自己管理のもと、能動的に行動し、リーダーシップを発揮することができる
倫理観を持ち、社会的貢献・責任を意識できる
国際社会への貢献を意識できる
■授業計画・内容
回数 内容
1回目 講義内容
2元連立1次方程式の幾何的意味 (1):平面・直線・点の表し方 (教科書 pp.139-148)
2元連立1次方程式の幾何的意味を考えるための準備として, 平面・直線・点の表し方を理解する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.139-148
簡単な例題を解いて, 平面・直線・点の表し方の感覚をつかむ。
2回目 講義内容
2元連立1次方程式の幾何的意味 (2):斉次方程式と非斉次方程式 (教科書 pp.148-158)
2元連立1次方程式の表す意味を, 幾何の観点から理解する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.50-59, pp.148-158
線型代数学 I (前期科目) で取り上げた掃き出し法を復習する。
3回目 講義内容
3 元連立1次方程式の幾何的意味 (1):空間・平面・直線・点の表し方 (教科書 pp.158-174)
3元連立1次方程式の幾何的意味を考えるための準備として, 空間・平面・直線・点の表し方を理解する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.158-174
簡単な例題を解いて, 空間・平面・直線・点の表し方の感覚をつかむ。
4回目 講義内容
3 元連立1次方程式の幾何的意味 (2):斉次方程式と非斉次方程式 (教科書 pp.174-185)
3元連立1次方程式の表す意味を, 幾何の観点から理解する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.73-82, pp.174-185
線型代数学 I (前期科目) で取り上げた掃き出し法を復習する。
5回目 講義内容
演習問題:連立1次方程式の幾何的意味に関する具体的な例題の解法(教科書 pp.182-185)
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.182-185 の自己診断 (演習問題) など
6回目 講義内容
線型空間 (1):群 (教科書 pp.186-190)
「連立1次方程式の解がなぜ求まるのか」という問題の出発点として,群の概念を導入する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.186-190
集合の概念が演算規則と密接に関わっている事情を理解する。
7回目 講義内容
線型空間 (2):体・線型空間の意味といろいろな例 (教科書 pp.190-211)
群に続く概念として, 体・線型空間の概念を導入する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.190-211
簡単な例題を解いて, 体・線型空間の感覚をつかむ。
8回目 講義内容
部分線型空間 (教科書 pp.211-232)
連立1次方程式の解は, どのような集合で記述できるのかという問題を取り上げる。

事前事後
学習の内容など
教科書 pp.211-232
簡単な例題を解いて, 部分線型空間の感覚をつかむ。
9回目 講義内容
内積線型空間 (教科書 pp.232-256)
線型空間で連立1次方程式が内積という形で表せる事情を理解する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.232-256
高校数学では計算を中心に学習した内積について, いろいろな性質の意味と導出を理解する。
10回目 講義内容
演習問題:線型空間に関する具体的な例題の解法
(教科書pp.249-256)

事前事後
学習の内容など
教科書 pp.249-256 の自己診断 (演習問題) など
11回目 講義内容
線型変換 (1):恒等変換・零変換・相似変換・正則線型変換・非正則線型変換 (教科書 pp.257-265)
線型変換という立場で, 線型空間における連立1次方程式の幾何的意味を探り、解が求まる場合とそうでない場合とのちがいを理解する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.257-265
簡単な例題を解いて, 線型変換の感覚をつかむ。
12回目 講義内容
線型変換 (2):回転・鏡映 (教科書 pp.265-281)
線型変換という立場では、連立1次方程式が回転・鏡映の入力と出力との関係を表す場合がある事情を理解する。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.265-281
回転・鏡映を表すマトリックスの導出するときの発想を理解する。
13回目 講義内容
固有値問題 (1):固有値と固有ベクトルの意味 (教科書 pp.282-291)
比例の概念を拡張して、固有値問題を取り上げ, 連立1次方程式の幾何的意味を探る。
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.282-291
簡単な例題を解いて, 固有値・固有ベクトルの意味と求め方を理解する。
14回目 講義内容
固有値問題 (2):マトリックスの対角化 (教科書 pp.291-305)
固有値問題の方法でマトリックスを対角化して, マトリックスの n 乗を簡単に求める方法を理解する。

事前事後
学習の内容など
教科書 pp.291-305
簡単な例題を解いて, マトリックスの対角化の意味を理解する。
15回目 講義内容
演習問題:固有値問題に関する具体的な例題の解法 (教科書 pp.305-310)
事前事後
学習の内容など
教科書 pp.305-310
固有値問題の応用の仕方を理解する。
■評価・試験方法
種別 割合 評価基準
定期試験
60%
2020年度はレポート試験の形で実施する。高校までに暗記した公式が使えるかどうかではなく, 本科目で取り上げる概念の意味が理解できたかどうかを重視する。
単なる計算力だけではなく, 計算に潜む意味を読み取る力を伸ばせたかどうかを判定する。
中間試験
0%
 
レポート
40%
単なる最終結果だけを記すのではなく, 考察の過程を明解に記述してあることで理解度を測る。
試験との比率は採点後, 難易度から変更もあり得る。
実技・作品等
0%
 
日常点(小テスト・課題等)
0%
 
その他
0%
 
備  考
レポート提出率>0%かつ定期試験 (レポート試験) >基準点 (採点後, 得点分布で難易度を判断して決める) をみたした場合, 定期試験+レポートを 100点満点に換算して, 大学の定める基準 (履修要項) にしたがって, A+,..., E を判定する。
■評価方法: ABC評価
■教科書
 1.小林幸夫:『新訂版 線型代数の発想』(現代数学社. 2020, 2900円)

 この教科書は, 数学演習 I (前期), 線型代数学 II (後期), 数学演習 II (後期) でも使用する。
■参考書
 1.小林幸夫:『新訂版 現場で出会う微積分・線型代数』(現代数学社, 2019, 3800 円)
■履修上のアドバイス
関連科目:代数学, 数学演習 II
理解度に応じて, シラバスの順序を多少変更することがある。
※毎週の授業に必要な事前事後学習時間(小テスト、レポート、課題など): 4時間
■アクティブラーニング実施の有無
なし
■授業や自主学習支援にICTを活用するかどうかの有無
なし
■課題(中間試験やレポート等)に対するフィードバックの方法
試験やレポート等について、添削、返却をおこなう。
■授業で使用する言語
日本語

 


     直リンクURL:  https://plas.soka.ac.jp/csp/plas/slb.csp?nd=2020&sm=2&mk=11&lc=101464